情報I「デジタル化と情報デザイン」練習問題と解説
標本化・量子化からデータ量の計算まで、この分野は手順さえ覚えれば確実に取れる計算問題と、用語の定義を問う暗記問題の二本立てです。計算は毎回同じ形で出るので、公式を覚えるより「単位をそろえる手順」を体に入れるのが近道です。
1. アナログとデジタルの違い
アナログは切れ目なく変化する連続量、デジタルは段階に区切った離散量です。デジタル化すると、コピーしても劣化しない・編集や圧縮がしやすい・種類の違うデータ(文字と音と画像)をまとめて同じ機器で扱える、という利点が生まれます。一方で、区切った時点で元の波の細かい情報は失われるため、必ず誤差がつきまといます。この「便利さと引きかえに誤差が出る」という構図が、情報デザイン分野の出題の背骨です。
2. 音のデジタル化 ― 標本化・量子化・符号化
音をデジタルにする手順は必ずこの3つの順番です。標本化(サンプリング)で一定の時間間隔ごとに波の高さを読み取り、量子化で読み取った高さを決められた段階に丸め、符号化で各段階を2進数のビット列に置きかえます。標本化周波数を上げるほど時間方向が細かくなり、量子化ビット数を上げるほど高さ方向が細かくなります。どちらも上げれば音質は良くなりますが、そのぶんデータ量が増えます。
例:標本化周波数 44,100Hz、量子化16ビット、ステレオ(2チャンネル)で1秒間のデータ量は
44,100 × 16 × 2 = 1,411,200 ビット
= 1,411,200 ÷ 8 = 176,400 バイト ≒ 約172KB
→「標本化周波数 × 量子化ビット数 × チャンネル数 × 秒数」で求める。ビットとバイトの取りちがえが最頻出のミス。
3. 標本化定理(サンプリング定理)
元の信号に含まれる最高周波数の2倍より高い標本化周波数で標本化すれば、元の波を復元できる、という定理です。人間の可聴域の上限が約20kHzなので、その2倍以上にあたる44.1kHzがCDの規格として選ばれています。「なぜ44.1kHzなのか」を説明させる問題では、この2倍という関係に触れられているかが採点の分かれ目になります。
4. 画像のデジタル化・解像度・色の表現
画像は細かい点(画素/ピクセル)に区切り、各画素の色を数値で表します。1画素あたりのビット数を増やすほど多くの色を表せます。ディスプレイは赤・緑・青を重ねるほど明るくなる加法混色(RGB)、印刷は重ねるほど暗くなる減法混色(CMYK)です。また、点の集まりで表すラスタ形式は拡大するとギザギザになり(写真向き)、点や線を数式で表すベクタ形式は拡大しても劣化しません(ロゴ・図形向き)。
例:横640画素×縦480画素、1画素24ビットフルカラーの画像のデータ量は
640 × 480 = 307,200 画素
307,200 × 24 = 7,372,800 ビット
÷ 8 = 921,600 バイト ≒ 約900KB
→ 24ビット=2²⁴=約1677万色。「1画素何ビットか」を先に確定させるのがコツ。
5. 圧縮(可逆・非可逆)と文字コード
可逆圧縮は元に完全に戻せる方式(ZIP、ランレングス法など)、非可逆圧縮は人が気づきにくい情報を捨てて圧縮率を高める方式(JPEG、MP3など)で元には戻せません。圧縮率は「圧縮後 ÷ 圧縮前」で表します。文字については、文字1つ1つに番号を割り当てた体系が文字コードです。ASCII(英数字中心)、シフトJIS、そして世界中の文字を統一的に扱うUnicode(符号化方式にUTF-8など)があります。送信側と受信側で文字コードが食いちがうと文字化けが起きます。
例:ランレングス法(可逆圧縮)で AAAABBBCCCCCCCC を圧縮すると
同じ文字の連続を「文字+個数」に置きかえる
AAAA → A4、BBB → B3、CCCCCCCC → C8
→ A4B3C8(15文字が6文字に)。ただし ABABAB のように連続が少ないデータでは、かえって長くなることもある。
6. 情報デザイン ― 抽象化・可視化・構造化
伝えたい相手に正しく伝わるように情報を整理する考え方です。抽象化は要点だけを取り出すこと(ピクトグラム、路線図、アイコン)。可視化は数値を図やグラフで見えるようにすること。構造化は見出し・階層・並び順で関係を整理することです。あわせて、年齢・言語・障害の有無によらず最初から多くの人が使えるように設計するユニバーサルデザイン、使い方を利用者に示す手がかりであるシグニファイア、使いやすさを表すユーザビリティ、そして誰もが利用できる度合いを表すアクセシビリティという用語もセットで覚えます。
練習問題(自作・全問無料)
問題をタップすると解答・解説が開きます。
① 標本化周波数 8,000Hz、量子化8ビット、モノラル(1チャンネル)で10秒間録音したときのデータ量は何バイトか。
解答:80,000バイト。8,000 × 8 × 1 × 10 = 640,000ビット。640,000 ÷ 8 = 80,000バイト(=約78KB)。ビットで答えを止めないよう注意します。
② 量子化ビット数を8ビットから16ビットに変えると、表せる段階数は何倍になるか。
解答:256倍。8ビットは2⁸=256段階、16ビットは2¹⁶=65,536段階。65,536 ÷ 256 = 256倍です。「ビット数が8増える=2⁸=256倍」と考えると速く求まります。
③ 人の耳に聞こえる音の上限を20,000Hzとすると、標本化定理からは最低いくらより高い標本化周波数が必要か。
解答:40,000Hz。標本化定理より、含まれる最高周波数の2倍より高くする必要があるため 20,000 × 2 = 40,000Hz を超える値が必要です。CDの44.1kHzはこれを満たしています。
④ 横1,000画素×縦800画素の画像を、1画素8ビットで表したときのデータ量は約何KBか(1KB=1,000バイトとする)。
解答:約800KB。1,000 × 800 = 800,000画素。800,000 × 8 = 6,400,000ビット。÷8 = 800,000バイト = 800KB です。
⑤ 写真をJPEGで保存したあと元のファイルに戻せない理由を説明せよ。
解答:JPEGは非可逆圧縮だから。人間の目が気づきにくい色や細部の情報を実際に捨てることで圧縮率を高めており、捨てた情報は保存されていないため復元できません。ZIPなどの可逆圧縮は情報を捨てないので元に戻せます。
⑥ ピクトグラムは情報デザインの3手法のうちどれにあたるか。理由も述べよ。
解答:抽象化。伝えたい内容から本質的な要素だけを取り出し、絵記号で単純に表しているためです。言語に依存しないので、文化や言語の違う人にも直感的に伝わります。
⑦ 同じ文書ファイルを開いたら意味不明な記号の羅列になった。考えられる原因と対策は。
解答:原因は文字化け。保存時と表示時で文字コード(シフトJISとUTF-8など)が食いちがっていることが考えられます。対策は、正しい文字コードを指定して開き直すこと、また保存側でUTF-8など広く使われる符号化方式に統一することです。
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