情報I「情報社会と法規」練習問題と解説
計算がなく、用語の定義を正確に覚えるだけで確実に得点できる分野です。ねらわれるのは細かい知識ではなく、「著作権は登録がいるのか」「譲渡できるのはどちらか」といった対になる概念の区別。混同しやすいペアを意識して読み進めましょう。
1. 情報がもつ4つの特性
情報には、形がない(無形性)、人に渡しても自分の手元から消えない(残存性)、簡単にコピーできる(複製容易性)、あっという間に広まる(伝播性)という特性があります。この4つがあるからこそ、一度インターネットに公開した情報は完全に回収できません。SNSでの炎上や個人情報の流出がなぜ深刻なのかを説明させる問題では、この特性に触れられているかが評価の分かれ目になります。
2. 著作権 ― 著作者人格権と著作財産権
著作権は創作した時点で自動的に発生し、手続きは不要です(無方式主義)。中身は大きく2つに分かれます。著作者人格権は作者本人の人格に関わる権利で、公表権・氏名表示権・同一性保持権を含み、他人に譲渡・相続できません。一方、複製権・公衆送信権などの著作財産権は譲渡できます。「譲渡できるか」を問う設問はこの区別を試しています。
引用が認められる主な条件(すべて満たす必要がある)
① 自分の著作物が主、引用部分が従という主従関係があること
② 引用部分がかぎかっこ等で明確に区別されていること
③ 出典を明示すること
④ 引用する必要があり、その範囲にとどめること
→ 条件を満たせば著作者の許諾なしに利用できる。「許可を取らないと必ず違法」は誤り。
3. 産業財産権の4つ
特許権(発明)・実用新案権(物品の形状などの考案)・意匠権(デザイン)・商標権(マークや名称)の4つを産業財産権といい、いずれも特許庁に出願・登録して初めて発生します。創作と同時に自動発生する著作権とは、ここが決定的に違います。著作権とあわせた総称が知的財産権です。
発生のしかたの違い(頻出の対比)
著作権 … 創作した時点で自動的に発生(登録不要)
産業財産権 … 特許庁へ出願し、登録されて初めて発生
→ 「アイデアを思いついた時点で特許権が発生する」は誤り。
4. 個人情報保護法とプライバシー
個人情報とは、氏名・生年月日など特定の個人を識別できる情報です。取り扱う事業者は利用目的を明示し、原則として本人の同意なく第三者に提供してはいけません。ただし、法令に基づく場合、人の生命・身体・財産の保護に必要で本人の同意を得るのが難しい場合などは例外とされています。また、私生活をみだりに公開されない権利がプライバシーの権利、自分の肖像を無断で撮影・公表されない権利が肖像権です。
5. 不正アクセス禁止法とサイバー犯罪
他人のID・パスワードを無断で使ってネットワーク経由でコンピュータを利用するなりすまし行為を禁じる法律です。他人のパスワードを不正に取得・保管・提供する行為も対象になります。ポイントは、実害が出ていなくても、侵入した時点で違法だという点です。関連して、不特定多数への広告メールを規制する特定電子メール法、プロバイダの責任範囲と発信者情報開示を定めたプロバイダ責任制限法も押さえておきます。
6. 情報セキュリティの3要素と情報モラル
情報セキュリティの3要素は機密性(許可された人だけが使える)・完全性(改ざんされず正確である)・可用性(必要なときに使える)で、頭文字からCIAとも呼ばれます。脅威としては、技術ではなく人の心理の隙を突くソーシャルエンジニアリング(肩越しの覗き見、管理者を装った電話など)、実在する組織を装って情報を入力させるフィッシングがあります。対策の基本は、ソフトウェアを最新に保つこと(サポート終了後の利用は更新プログラムが提供されず危険)、パスワードを使い回さないこと、多要素認証を使うことです。
7. デジタルデバイド・ユニバーサルデザインと問題解決
情報技術を使える人と使えない人の間に生じる格差がデジタルデバイドです。年齢・地域・所得などが要因になります。これに対し、年齢や障害の有無によらずできるだけ多くの人が使えるように最初から設計する考え方がユニバーサルデザインで、あとから障壁を取り除くバリアフリーとは出発点が異なります。また問題解決の流れは、問題の発見 → 分析 → 解決策の立案 → 実行 → 評価 → 改善。評価と改善を繰り返して質を高める点まで書けると得点になります。
練習問題(自作・全問無料)
問題をタップすると解答・解説が開きます。
① 著作権のうち譲渡できない権利を何というか。含まれる権利も答えよ。
解答:著作者人格権。公表権・氏名表示権・同一性保持権が含まれます。作者本人に一身専属する権利のため、他人に譲渡したり相続したりできません。複製権などの著作財産権は譲渡できる点と区別します。
② 著作権と特許権では、権利が発生するタイミングがどう違うか。
解答:著作権は作品を創作した時点で自動的に発生し、登録などの手続きは不要です(無方式主義)。一方、特許権は特許庁に出願して審査を経て登録されて初めて発生します。産業財産権はいずれも登録が必要です。
③ レポートに他人の文章を載せるとき、許諾なしでも認められる「引用」の条件を挙げよ。
解答:自分の著作物が主で引用部分が従であること(主従関係)、引用部分がかぎかっこ等で明確に区別されていること、出典を明示すること、引用の必要性がありその範囲にとどめること。これらをすべて満たす必要があります。
④ 他人のIDとパスワードを使って許可なくログインしたが、何も操作せずすぐ切断した。違法か。
解答:違法です。不正アクセス禁止法は、他人の識別符号を無断で用いてネットワーク経由でコンピュータを利用可能にする行為そのものを禁じています。実際の被害が生じていなくても、ログインした時点で法に触れます。
⑤ 個人情報を本人の同意なく第三者に提供できる例外を1つ挙げよ。
解答:法令に基づく場合(警察の捜査関係事項照会など)。ほかに、人の生命・身体・財産の保護に必要で本人の同意を得ることが困難な場合、公衆衛生の向上や児童の健全育成に特に必要な場合などがあります。原則はあくまで本人同意です。
⑥ サポートが終了したOSを使い続けることがなぜ危険か説明せよ。
解答:新たに発見された脆弱性に対する更新プログラム(セキュリティパッチ)が提供されなくなるためです。攻撃の穴が塞がれないまま放置されるので、マルウェア感染や不正アクセスの危険が高まります。
⑦ ユニバーサルデザインとバリアフリーの違いを説明せよ。
解答:ユニバーサルデザインは、年齢・言語・文化・障害の有無にかかわらず、できるだけ多くの人が使えるように最初から設計する考え方です。バリアフリーは、既にある障壁を特定の人のためにあとから取り除く考え方です。出発点が「最初から」か「あとから」かが違います。
⑧ SNSに一度投稿した写真を削除しても安心できない理由を、情報の特性の語を使って説明せよ。
解答:情報には複製容易性と伝播性があるためです。投稿された写真は容易にコピーされ短時間で広まるので、元の投稿を削除しても既に保存・転載されたものは回収できません。残存性により、渡した情報は相手の手元に残り続けます。
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